2012年7月8日日曜日

儲けたい人のためのETF講座(その3)


個人投資家のETFに対する理解は必ずしも十分とは言えません。

FPの中にも「手数料が割安な投資信託」程度にしか理解していない人が多くいます。

ですから、「商品が少ないので、ニーズに合わなければ一般の投資信託をお勧めします。」というアドバイスとなってしまいます。

一方私のアドバイスは、趣味として投資を楽しみたいのならニーズに合った商品をお選びください。
でも「儲けたいのならETFです!」とアドバイスしています。


ETFが儲かるヒミツ

前回の投稿で「日興 上場インデックスファンド海外先進国株式【1680】」のグラフを示しました。

指標はMSCI-KOKUSAIインデックスです。

このETFは設定日(2010/1/22)以来、純資産額が常にMSCI-KOKUSAIインデックスを上回っています。(%換算値比較)

これはETFの仕組みに原因があります。

一般の投資信託は、個人投資家からお金を集めて、運用のプロが株式や債券を売買するシステムとなっています。

言ってみれば一任勘定であり、個人投資家と投信会社との相対取引であり、即時性や透明性に難があります。

これに対しETFは、指定参加者と呼ばれる証券会社や機関投資家などがまとまった金額を出資し、市場で買い付けた現物株の集合(現物株バスケット)を運用会社に拠出、その出資に見合う持ち分に対し運用会社から「受益証券(ETF)」を受取り、これを市場で売却します。

この段階では個人投資家はまったく関与していません。

個人投資家は、流通市場で販売されているETFを購入することになります。つまり市場から買うのでどの証券会社からでも売買できます。(海外ETFなど一部取り扱っていない証券会社もあります。)

購入価格は理論的には対象とする「指標」に連動した価格です。
(購入価格について、ETFは株式に類似しているため投資信託が1万円前後からなのに比較し数万円のものが多い。)

参考
「指標」には、TOPIXや日経平均株価といった株価指数や、金価格などの指標があります。

このため一般の投資信託が証券会社との相対取引で不自由なのに比べ、ETFは流通市場での売買ですから株式同様に自由かつ「公明正大」な取引となっています。

また、流通市場で売買されるETFの口数は一定ですから、原則として現物株バスケットはほぼ流通市場から切り離されており株式の増減は生じません。

参考
一般の投資信託は、個人投資家からの出資額に応じて、株式などを売買しなければなりませんから、儲けるための機動的運用と信託財産の増減による運用など頻繁に売買が発生しコストが嵩むため、信託報酬も高額となります。
また、株式の頻繁な売買に関連し当然課税が発生するため、これもコストとなります。

参考
機関投資家にもETFの活用が広がっていますが、その際は、ETFを市場から調達するのではなく、現物株を直接拠出し、現物株バスケットを追加設定する手続きとなります。
この場合、ETFの口数が増加することになります。(流通市場の口数には変化はありません。)

しかも現物株バスケットがTOPIXやMSCI-KOKUSAIインデックスに連動するように選定されていれば、指数の変化に応じて取引価格も追従するので、リアルタイムでの売買も可能となります。(株式とまったく同じ機能となっています。)

注意
現実には、取引価格は需給関係により一時的に指数と乖離する場合があります。


このようにETFは現物株の売買がほとんど発生せず、運用会社は株式の倉庫番としての役割しか果たしていませんから、その報酬は僅かなお金(信託報酬)を支払えばよいことになります。

と同時に株式の売買も発生しませんから当然課税も発生しないので、この点からも投資信託よりもETFは優れていると言えます。


次にETFが常に指標を上回る理由は次のとおりと考えられます。

指標はリアルタイムで現物株式の価格を集計をしたものです。
集計をしただけの「数値」ですから、指標には配当金が上乗せされることはありません。

一方現物株バスケットは現物の株式ですから「配当金」が上乗せされます。(金などの商品の場合は配当がありません。)

この結果、指標が例えば1000のときに、ETFの1口当たりの純資産額が配当金により増加し1050円となります。

つまり原理的には、現物株バスケットの純資産は常に指標を上回るということが言えます。


参考
東京証券取引所「分配金に着目したETF投資のご紹介


参考
厳密には株式の配当落ちも考慮する必要がありますが、現実的には純資産額は指標を上回っています。

注意
ETFはこのような特性があるため、「お上」は法律でETFの収益の分配については、決算期間中に発生した配当や受取利息などの収益から信託報酬などの費用を控除した全額を分配しなさいと強制しています。


私の意見
この法律は明らかにETFつぶしです。
賢い投資家なら常識ですが、分配金は「再投資」してこそ大きな利益が得られます。
ETF導入に反対する抵抗勢力(証券会社)により入れられたのではと私は勘ぐっています。

一般のインデックスタイプの投資信託にも配当金が支払われるので、この仕組みは同じですが、配当を上回る多くのロスがあり、結果として大半の投信は指標以下の成績となってしまっています。


以上より、ETFは信託報酬が格安で、公明正大、いつでも市場価格で売買でき、わずかな配当金も確実にゲットできるので、ぼったくり投資信託に比べ「儲けられる可能性が高い商品」と言えます。

注意
ETFは必ず儲かるわけではありません。念のため。
投資は自己責任でお願いします。


次回は・・・?



投資や家計全般のご相談についてはこちらをご覧ください。



儲けたい人のためのETF講座(その1)

儲けたい人のためのETF講座(その2)

儲けたい人のためのETF講座(その3)

儲けたい人のためのETF講座(その4)

儲けたい人のためのETF講座(その5)

儲けたい人のためのETF講座(その6)

儲けたい人のためのETF講座(その7)

儲けたい人のためのETF講座(その8)

儲けたい人のためのETF講座(その9)

儲けたい人のためのETF講座(その10)

儲けたい人のためのETF講座(その10補足)

レバレッジETFのしくみと危険性について