2010年6月3日木曜日

老後資金の準備と運用(その2)

前提にあげた世帯について将来の生活費の不足額が1,867万円と分かりました。
では夫が63歳の時点で、いくら貯蓄があればよいでしょう。

この計算には、年金現価係数を使いますが、ホームページに「年金と積立」のソフトをアップしていますので、このソフトで計算できます。(ダウンロードしてください。エクセルが必要です。)

このソフトのⅠ「受取額」から「必要積立額」を割り出す場合のところに、
受取年金額 61万円(≒1,867万円÷31年)
受取期間  31年間(61万円×31年=1,891万円)
と入力すると、

金利0%なら   1,891万円
金利0.5%なら 1,748万円
金利1%なら   1,619万円
金利1.5%なら 1,503万円
金利2%なら   1,399万円
金利3%なら   1,220万円
となります。
取り崩し期間が31年もあるので、金利によりこんなにも金額が違ってしまいます。

では運用の基本について以下に記します。
○基本は守りの資産
この資産は将来の生活費として必要なお金です。したがって減らさないように注意しなくてはなりません。

○長期運用の視点
運用期間が31年間もあります。期間の長い投資は、それだけリスクを減らせます。

○大事なことは分散投資
守りの資産だからと言って、100%銀行預金というのはインフレリスクに弱くなります。ポートフォリオを組んで資産を分散することで、リスク低減とリターンの改善を図ることができます。

【投資はどうしたらよいか】

○投資目的の確立
ただ資産を増やしたいという願望だけの場合は、行き当たりばったりの資産運用となりがちです。
目的をしっかり確立し、そのための手段方法を適切に選択することが大切です。

○資産は目的別に分けて管理
まずは資産運用の3分法にしたがって、

・流動性資産 当面の生活費、臨時支出(慶弔費、入院費用等)用として生活費の6ヶ月分170万円程度は年金の受け入れ口座などに確保しましょう。目安ですから、キープする必要はありません。ときどき見直す程度でよいでしょう。

・安全資産
住宅の修繕、子供の結婚費用援助、車の買い換え、旅行費用等は3年程度の計画を立てて、銀行の定期預金等で確実に確保しましょう。
旅行積立などを利用するのもよいでしょう。
500万円程度を目安としましょう。

銀行預金については、退職金限定で、1年以内の預け入れに対して特別金利を付ける定期預金があります。
3ヶ月満期が1.8%程度、6ヶ月満期で1%の優遇金利がつきますから、スーパー定期よりも利回りで魅力があります。(各行とも500万円以上の預け入れ。)

注意点は、投資信託や外貨預金とセットにし、退職金限定で3ヶ月定期に6%の金利を付ける商品がありますが、目先の短期利益に釣られると長期で損しますからお薦めしません。

定期の利回りは1.5%(=6%×3/12)になり1%を大きく越えるものの、同額の投資信託を買ったら、銀行には4%の手数料が支払われますから、銀行としては、4%-1.5%=2.5%の儲けとなり、「お客」が結局2.5%損となります。
この2.5%は投資信託の信託報酬として後からしっかりと引かれます。
投資信託の賢い買い方は別途説明します。

もう1点注意事項として、長期預け入れのための口座を開設する場合、全般的には都市銀行などは金利が低いので、ネット銀行をお薦めします。金利は概ね3倍になります。(例えば、スーパー定期300万円以上なら、都市銀行が3年0.1%のところ、ソニー銀行は0.358%にもなります。)



老後資金の準備と運用(その1)

老後資金の準備と運用(その2)

老後資金の準備と運用(その3)

老後資金の準備と運用(その4)



参考
お得な個人年金の作り方



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