2018年5月4日金曜日

米国債の利回りとドル円レートの関係は今どうなっているのか?


米国の国債残高(政府総債務残高)は2018年現在22兆ドル(約2,420兆円)あります。

参考
外国為替市場の取引量は、1日平均約5兆ドル(約550兆円)と巨額であり、米国債の市場は外為市場に次ぐ巨大なものです。

この米国債が日々世界中で売り買いされ、米国債の価額の変化とともに長期、短期の利回りも同時に変化し、また為替も関連して変化しています。

債券価額の変化については一般に馴染みが薄いので、説明の前に先ず基本事項を確認しておきましょう。

債券価格は額面に関係なく、一般の商品と同様に需要と供給によりその値段が決まり、供給が多く需要が少なければ値下がりし、その結果債券の利回りは上昇します。

簡単な計算式でこの関係を示すと、

x(価額)×(1+r(利回り))^10乗=100円(額面)
r(利回り)はx(価額)の関数で有り、またx(価額)はr(利回り)の関数にもなっています。

例えば、
x=80円の場合、自動的にr=2.3%となります。
x=50円の場合、自動的にr=7.2%となります。

注意
債券運用は複利利回りとしています。単利運用の場合は(1+利回り2.5%×10年)となります。この式で10乗とは、10年物国債の場合、毎年毎年利回り2.3%の複利で10年間元利が増えて行くことを示しています。

買値に関わらず償還額は額面金額(一定)となりますから、安く買うほどその債券の利回りは高くなります。

さて、次のグラフは米国の2年物国債及び10年物国債の利回りについて、リーマンショックの年から10年間の推移状況を示しています。


特徴的なのは、2年物国債(RIFLGFCY02_N.B)の利回りが、2017年9月の1.27%から一貫して上昇しており、この4月27日には10年物国債(RIFLGFCY10_N.B)の2.95%に迫る2.49%まで上昇していることです。

10年物国債の利回りについては、この間それほどの急上昇はしていませんが、4月25日、4年3ヶ月ぶりに3%の大台を突破しています。

10年物国債と2年物国債の金利差に注目すると、2013年12月31日の2.66%をピークに逐年減り続け、4月27日現在0.46%まで接近しています。

つまり定期預金で考えれば、10年定期の利回りが2.95%なのですが、2年定期の利回りが2.49%もあり、ほぼ遜色のないレベルになっています。

これって2年物国債がすごく魅力的に見えますね。

さすがに逆イールド(長期と短期の金利が逆転する状況)にはなっていませんが、異常状態(イールドカーブのフラット化)とは言えそうです。

その異常状態とは、

①短期では債券がかなり売られている(利回り急上昇)
②短期ほどではないが長期でも債券がじわじわと売られている(利回り微増)

債券の利回りは、その国の経済の体温計と言われていますが、この状況より投資家は米国経済について、現状は絶好調だがその内、景気は徐々に減速し、株価も天井を打ち、景気は後退期に入ると見ているようです。

参考
米国株は、2018年1月以降調整局面に入っています。

そこで為替(ドル円レート)への影響はどうなったのか?

今の米国債の利回りは、利回り0%の日本国債と比較しとっても魅力的です。

低金利に苦しめられている銀行、証券、保険会社、年金基金などはそれっとばかりにドル買いに走ったようです。(円売りドル買い)

日米金利差と為替レートの相関を次のグラフに示しています。


オレンジ色の線が相関を示しており、2018年1月の-0.85から4月には+0.93へ急上昇しています。

参考
相関係数が1に近づくと、為替と金利差がまったく同じ動き方となっており、-1に近づくとまったく逆の動き方となります。

1月-3月ごろは、日米金利差を無視して為替が円高となり、専門家たち全員が「理解困難」と匙を投げていたものが、ここに来て「やっぱり金利差が為替レートを決めるのです。」とつじつま合わせのコメントを出しています。

このグラフより、日米金利差と為替レートの相関(オレンジ色の線)は、ほとんどの期間で0から1の間で推移していますから、原則は日米金利差が拡大(米国債の利回り上昇)すると円安になると考えてよいと思います。(保険会社などが盛んに円売りドル買いに走る。)

これは原則であって、当然トランプさんや北の将軍様の気まぐれなどで「安全な円」が買われることもあります。(気まぐれな円高)

この原則を信ずると、FRBは年3回以上FF金利を上げると宣言していますから、今後日米金利差は拡大する一方であり、そうすると為替レートは110円、120円そして130円になるのかも・・・

投資は自己責任でお願いします。

参考
FX投資家のための為替講座




投資や家計全般のご相談についてはこちらをご覧ください。