2017年9月11日月曜日

つみたてNISA・・・金融庁がお勧めする老後資金作りの決定版


いよいよ平成30年1月1日からつみたてNISAが始まります。
金融機関の受付は平成29年10月1日からです。

とりあえず多くの方の疑問は、iDecoなどの確定拠出年金、既存のNISAと何が違うの・・・とか、どれがお得なの・・・とか だと思います。

iDecoなどの確定拠出年金は、公的年金制度{国民年金(1階部分)、厚生年金保険(2階部分)}の上乗せ(3階部分)として、投資信託などを毎月積み立て方式で購入する制度で、60歳までは引き出すことが出来ませんが、積立金の全額が所得控除でき、また年金を受け取る時にも公的年金等控除が適用できる超お得な年金制度です。(投稿の最後に比較表を載せていますのでご覧ください。)

NISAは、銀行に眠っているまったく利子の付かない預貯金を投資に回して貰うため、120万円を上限に5年を期限として、投資で得られた利益を非課税とする制度で、老後資金のためと言うよりは、「貯蓄から投資へ」国民を誘導するための制度です。(投稿の最後に比較表を載せていますのでご覧ください。)

しかし、国は「貯蓄から投資へ」と誘導するためこれら制度を作っていますが、結局金融機関の手数料稼ぎに利用され、個人投資家は手数料の高い儲からない商品を買わされる結果となっており、当初のもくろみどおりには普及していません。

参考
NISA口座で実際に利用されている割合は現状45%程度しかありません。55%はブームに乗り口座を作ったものの利用していないのです。

これまで金融庁の軸足は金融機関側にありましたが、そうして作られたこれら制度がなかなか定着しない現状を反省し、つみたてNISAについて金融庁は軸足を思いっきり国民側に持って来たのです。

したがってつみたてNISAは金融機関側がまったく儲からない制度であり、国民側が絶対に儲かる制度になっています。

注意
「絶対儲かる」はチョット言い過ぎで「ほぼ絶対儲かる」ぐらいです。

それでは、NISAとつみたてNISAの比較から、

まとまった預貯金を持っている人はNISAが使えますが、預貯金の少ない若い人たちはNISAが使えません。

またNISAは5年間という中途半端な期間であるため、儲けられるのかどうかびみょ~であり、より確実に投資の利益が得られる(可能性の高い)長期間の投資が望ましいという分析もあります。(下図参照)

                         金融庁「つみたてNISAについて」より

金融庁はたぶんNISA発足当初より5年という投資期間が中途半端であることは分かっていたはずです。

今更保有期間が20年の方が儲かりますよとか言っちゃって・・・

でも投資期間が20年間の方が儲かるのは確かなのです。

ですから金融庁は、現行NISA制度の適用期限を延ばすよう改善すればよいのでしょうが、役人としては「無謬性(絶対に間違いはしない)」を破れないので、別の制度(つみたてNISA)でこれらの問題点を改善しようとしているのです。

別の制度にしたもう一つの理由として、NISAではさまざまな金融商品が選べますが、現状として屑商品が多く、金融機関がたくみにそれらを売りつけ高額な手数料を稼いでいる状況があります。

以上よりNISAはそこそこ儲かるかも知れない制度で有り、つみたてNISAはほぼ絶対に儲かる制度と言えます。

注意
NISAとつみたてNISAは併用できません。いずれかを選択します。1年ごとに切り替えは可能です。


ではつみたてNISAの制度とは

まとまったお金が無く、毎月積み立て方式で投資をしたい人のための口座で、1年間の積立額は40万円以下(月額約3.3万円)で投資信託を定期的に購入し、非課税保有期間が20年間に制限されています。(個別株式は対象外)

注意
確定拠出年金は60歳まで引き出せませんが、つみたてNISAはいつでも引き出せます。当然利益が出ても非課税です。所得控除はNISAと同様にありません。

この制度が使える期間は、平成30年~49年の20年間に限られます。
そうすると平成30年から毎年40万円を積み立てると、最大で800万円が上限となります。

つみたてNISAで金融庁が最も力を入れている点が、屑商品を徹底的に排除した優良商品だけにお墨付きを与えていることです。

参考
当初金融機関は、手数料稼ぎが出来ないつみたてNISAは「商売にならない」と消極的でしたが、若者に投資を広めない限り金融機関の未来はないとの危機意識からしぶしぶ金融庁の指導に従っているようです。

金融庁ご推薦の優良商品とは、次の基準に合格したものだけに限定されています。

1 信託契約期間が無期限または20年以上
2 毎月分配型は絶対だめ
3 デリバティブ商品(先物取引、オプション取引、スワップ取引)もいけません
4 指定されたインデックスに連動しているもの(訳の分からないインデックスはだめ)
5 指定されたインデックスに連動していないもの → とても厳しい基準あり(省略)
6 主たる投資対象資産に株式を含むもの
7 販売手数料は無料(ノーロード)のもの
8 信託報酬が0.5%以下(国内資産)、0.75%以下(海外資産)のもの
9 金融庁へ届出されたもの

ETFについて
1 指定されたインデックスに連動しているもの
2 主たる投資対象資産に株式を含むもの
3 最低取引単位が1,000円以下
4 販売手数料 1.25%以下
5 信託報酬は国内も海外も0.25%以下
 注:海外ETFについては資産残高1兆円以上(かなり厳しいね!何か裏がありそう。)
6 金融庁へ届出されたもの

指定されたインデックス(例)
国内:TOPIX、日経225、JPX日経400、MSCI Japan Index
全世界:MSCI ACWI Index、FTSE Global All Cap Index
先進国:FTSE Developed Index、FTSE Developed All Cap Index、S&P500、
       CRSP U.S. Total Market Index、MSCI World Index、MSCI World IMI Index

この厳しい基準をクリアした優良商品には金融庁のお墨付きが与えられるので、つみたてNISA対象商品はどれも安心して投資できます。

今のところ、この厳しい基準をクリアした商品は120本あります。(8月30日現在)
公募投信114本、ETF 6本

参考
はっきり言って、つみたてNISAだけでなく投資信託を購入するときには、この基準で選びなさいと金融庁は示しているのです。この基準に合わない投資信託は、どんな状況だろうと買ってはいけないのです。

ここまで金融庁が力こぶを入れて作った制度ですから、使わない手はありません。

介護保険や個人年金保険などは超低金利かつ長期固定商品ですから20年後は、実質的に元本割れとなる可能性が高いので、この際多少の損を覚悟ですっぱりと解約し、来年1月からつみたてNISAを始めることで明るい未来がやって来ると思います。

そうすれば、20年後の返戻率が160%を遙かに超えることはほぼ確実です。

参考
日経記事によると「MSCI WORLD指数(配当込み、円ベース)で1969年12月から20年、1970年1月から20年という具合に1カ月ずつずらしながら20年間投資した成績を調べると、16年末までの平均で4.7倍(戻し率470%)、成績が最悪だった金融危機後の2009年初めまでの20年でさえ、7割強(戻し率170%)増えていた。」


ただし一度商品を選んだ後は、20年間地道にこつこつと積立を続け、損が出ても解約したり別の商品に乗り換えたりしなければの条件が付きます。


つみたてNISAは老後資金準備のため、ぜひ活用すべき制度だと思います。

参考
私はつみたてNISAでMSCI コクサイに投資していますが、S&P500などの株高のお陰で利回りが13%に届きました。(ただし瞬間風速です。)2020/1/1現在

注意
投資は自己責任でお願いします。


参考
老後資金準備として利用可能な年金、非課税口座等を独自に比較してみました。
次の評価要素について各制度及び商品について比較し、優劣を記しています。
<所得控除>掛金が所得から控除できる(全額◎、一部○、なし×)
<企業負担>掛金を企業が負担するもの(全額◎、一部○、なし×)
<非課税>運用益について課税されない(全額◎、なし×)
<公的年金等控除>払戻について公的年金等控除が使える(使える◎、使えない×)
<長期投資>投資期間が長期(20年以上◎、5年以上△)
<取扱商品の品質>低品質の商品を含むかどうか(なし◎、一部○、かなり△、ひどい×、超優良◎◎)
<得点>◎3点、○2点、△1点、×0点で集計した値
<評価>合計得点による評価(優良10点以上、良5点以上、可5点未満)