他の人が動くよりもほんの僅か、瞬きするあいだに先手を取れば儲けることができるというわけです。
まあイワシとかアジとか群れて泳ぐ魚では、群れの泳ぐ方向をいち早く感じ取って全力でその方向に逃げれば、マグロやカツオなどの外敵に食べられず、生き延びることができるという教訓を学んだ人が考えたと思われます。
このHFTという手法は今のところ合法ですし、向かうところ敵なし。
「米国株式市場はまるで八百長試合だ。」との声も出ています。
そこで米連邦捜査局(FBI)は、なにかズルしてるんじゃないのと疑っており、調査が始まっています。
個人投資家にもシステムトレードが流行っていますが、パソコンとちゃちなソフト(でも高額なようです)で勝てるのか?・・・多分ムリだと思うのですが。
なにしろプロの世界では、3/1000秒を短縮するために通信回線に3億ドル(約310億円)を投資し、証券会社に1000万ドル(約10億円)でリースしているそうです。
そして取引所の近くにトレーディングのためのコンピュータセンターを建設したりしているのですから、取引速度やソフトの性能では個人投資家に勝ち目はありません。
HFTが主流となった市場では、遅れてやってくるのろまがカモにされるのです。
参考
個人投資家などの指値注文は取引に時間がかかるため、もたもたしている間にHFTは何件もの取引を約定させることができるので、個人投資家の約定価格は指定した値段から大きく外れた値段となる場合があります。(つまりカモられる可能性があります。)
では個人投資家はどうしたらよいのでしょう。
今回の「雇用統計」のお祭り騒ぎを分析してみるとよい教訓が得られます。
この図はyahooファイナンスの為替チャートを使わせていただきました。
4日午前8時半に米国の3月の雇用統計が発表された直後のNY円の動きです。
日本と米国東部時間との時差は13時間ですから、米国の午前8時半は日本では午後9時30分(21:30)になります。
21:29に陽線があり、15銭ほど飛んでいますが、フライングです。
21:30に陰線があり、38銭下落(ドル安)しています。
市場予想20万人に対して19万2千人とやや下回ったので、「ドル売りだ!」と反応しています。
しかし数十秒後には「まてまて予想とほぼ同じぐらいだろう!」、「いやいや19万人は経済が好調ってことだろう!」ということで「ドル買いだ!」となっています。
そしてその後は前日終値と同じことに・・・。
超高速で巨額なマネーが右往左往している様子がよく分かります。
でも傍から見ていると「なにをバカ騒ぎしているの?」って感じですね。
以上のことから、個人投資家は「イベント」で儲けようとすると火傷しますから、どっしりと腰を据えて「なにもしない」ことです。
ハイレバレッジでFX取引をされている方は、低倍率にしてこの大波を乗り過ごすことが良いでしょう。
HFTは明らかにプロに有利な市場となっています。
プロの世界はスピードで他人を出し抜くことができるので、そのための武器の性能で鎬を削っていますが、それも多分長続きはしないのではと私は考えています。
いずれにしろ個人投資家が参戦しても勝ち目はありませんから、ここはじっくり腰を据えて長期投資に専念することです。
「分散」「長期」の投資は常に個人投資家に幸運をもたらしてくれますし、プロたちに勝てる唯一の戦略なのです。
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