2012年7月7日土曜日

儲けたい人のためのETF講座(その4)


ETFはその優れた機能、特性により、やがては機関投資家も個人投資家もそのほとんどが利用することになると予測されています。

その際にどのように利用したら良いのかについて私の考え方を記します。

1 分散投資の手段として

中国だ、ブラジルだ、いや金だ、・・・

時々のブームはいろいろありますが、流行追いかけ型の投資は過去の例からすると火傷する場合が多いのではないでしょうか。

プロでも素人でも投資では「お宝」を見つけようと血眼になりますが、効率的市場仮説によると割安な状態で放置されている「お宝」は「ない」ことになります。

世界中のあらゆる市場はネットワークによりグローバル化され、ほぼ一体化しており、プロも素人にも情報は瞬時に伝わり、巨額な投資マネーは日日世界中を駆け巡っています。

このような現状から考えると、効率的市場仮説が前提としている条件が完整されたと言ってよいのではないでしょうか。

市場が効率的になるともはや「お宝」探しは不可能となり、市場全体の成長性が「リターン」を決めることとなります。

参考
「お宝」探しの手段としてミリ秒単位の価格情報を集めたビッグデータをスーパーコンピューターで解析し、システム売買で儲けようと考えている人たちもいます。つまりミリ秒単位で先手を打てば「お宝」はゲットできるという考え方です。
でも「Nathanの逆売り」で知られるロスチャイルドは情報の重要性と共に「戦略的判断力」「胆力」に長けていたから儲けたのであり、その点はコンピューターにはムリだと私は考えますがいかがでしょう。

効率的市場では「お宝」はないのですから、投資のメインテーマは「リスクコントロール」になります。

欧州危機や米国の雇用統計発表時に債券や為替が大きく動きますが、その際の投資判断の基準も「リスクオフ」ですから、いまや世界中の投資家の判断基準が「低リスク」と言ってもよいのではないでしょうか。。

モダンポートフォリオ理論から、集中投資の場合にリスクが最も高くなり、バランスよく分散投資されたときにリスクが最も低くなります。

分散投資の究極は世界市場を丸ごと買ってしまうことです。

ETFを利用することで、現在では個人でもそれが可能となりました。

S&P 500 、MSCI EAFEそしてエマージング・マーケットETFを組み合わせれば、ほぼ世界の株式市場すべてに投資することができます。

ここでインデックス運用になじめない方もいらっしゃると思います。
特に投資知識が深い方ほどそうかも知れません。

大事な資産を運用するのですから慎重にも慎重を期し、ご自分が見て聞き理解した情報をもとに投資したいとの思いは十分に理解できます。

でもETFの登場により、投資にも「王道」ができたのです。

今ではリスクを減らしリターンを高める最善の方法がETFであると言うのがファイナンシャルアドバイザー(FA)の共通認識となっています。

一方ETFならなんでもよいと言える状況ではなくなって来ています。

ETFの種類もどんどん拡大しつつあり、中にはアクティブ運用をするものも現れてきています。

ETF=インデックス運用 と言えなくなって来ていますから、商品選択ではバスケットの中身を吟味しなければなりません。

そうした中で私のお勧めはこれまでよく知られているTOPIX、S&P 500 、MSCI EAFEなどの定着した「指標」がよいと思います。

「指標」としてまだ定着していないエマージング・マーケットETFについては少し慎重に選ぶ必要があります。

エマージング・マーケットは市場規模が小さいため巨大企業+中小企業というポートフォリオとなり、巨大企業数社で50%以上の比重となっているETFもあります。(分散効果が低くリスクがあまり減らない。)


2 ETFの選択はコスト重視

  ETF投資で儲けるためには低コストの商品を選ぶことです。

ETF投資のコストには、長期保有のコストとなる信託報酬と、短期売買のコストとなる売買手数料などがあります。

売買手数料は株式と同様、市場での売買にかかる手数料ですが、このほかに、FXと同様のスプレッド(売り気配-買い気配の差額)も隠れたコストになります。

またETF固有のコストとしてトラッキングエラー(乖離)があります。
ETFは原理的には「指数」に連動した価格で売買できますが、需給関係などの市況により指標価格よりも割高(プレミアム)または割安(ディスカウント)となる場合があり、割高で買い、割安で売ることになってしまうこともあります。

しかしこれらは、株式売買と比較しETFだから損、得と言うわけではなく、特質として理解しておけばよいのではないでしょうか。(これらの問題は「指値」注文によりある程度防ぐことができます。)

売買手数料については次回に書く予定ですが将来的には「無料化」される方向にあります。
すべてのETFが無料とはならないと思いますが、すでに米国のバンガード、チャールズ・シュワブ、フィデリティなどが特定のETFの売買手数料を無料にしています。

いずれにしても、ETFは市場全体に投資をし、そしてリスク(標準偏差σ)も個別株式などに比較しかなり小さくできるため長期投資向きと言えるので、短期売買に関係しているコストよりも長期保有で確実に引かれる「信託報酬」の安さでETFを選ぶことをおすすめします。


続く



投資や家計全般のご相談についてはこちらをご覧ください。




儲けたい人のためのETF講座(その1)

儲けたい人のためのETF講座(その2)

儲けたい人のためのETF講座(その3)

儲けたい人のためのETF講座(その4)

儲けたい人のためのETF講座(その5)

儲けたい人のためのETF講座(その6)

儲けたい人のためのETF講座(その7)

儲けたい人のためのETF講座(その8)

儲けたい人のためのETF講座(その9)

儲けたい人のためのETF講座(その10)

儲けたい人のためのETF講座(その10補足)

レバレッジETFのしくみと危険性について