2017年10月18日水曜日

「つみたてNISAの違和感」に違和感


日経の証券部次長さんにもの申すのも気が引けますが、でも「財政再建重視、消費税上げろ!」という会社ですから、経済をまったく分かっていないようなので、この際一言言わせて頂きます。

参考
日経の基本方針は「財務省のいいなり」なのに、金融庁の「Fiduciary duty」に逆らうのは、会社としてどうなのか知らん。


さて日経記事「つみたてNISAの違和感」では運用業界の声として次のように書いています。(要旨)

1 インデックス型が優遇され、アクティブ型が差別されている。
(つみたてNISAに適格とされた投信の本数、インデックス型100本、アクティブ型14本)

2 信託報酬が安い物だけが優良な投信という訳ではない。

3 実際(信託報酬などが高くても)年率のリターンが10%を超える優良な成績を続けている投信がある。

4 投資家のニーズはそれぞれ違うのだから、インデックス投信の長期積み立てが、唯一絶対の投資手法だとは言えない。

5 投資は自己責任。行政が商品選びにまで細かく立ち入るべきではない。

と御託を並べています。

しかも大手運用会社OBということで、とても現役が言えないことをご親切にも拾い上げています。

そりゃあ長年運用で飯を食ってきた人は、頭ごなしにアクティブ型はダメだと言われりゃプライドにキズが付くことでしょう。

そして「年率のリターンが10%を超える優良な」投信もあったと思いますし、投資家のニーズもいろいろあるでしょう。

で結局は、せっかく美味しい商売をしているのだから、金融庁は要らぬお節介をしなさんなと言いたいようです。

察するところ日経は、鬱憤やるかたない業界の気持ちを代弁しただけのようです。


でもね、はっきり言って投資はすべて確率の世界なのです。

アクティブ型で優良な投信はありますが、事前にそれが見通せる人は運用業界を初めとしてこの世の中にいないのです。

もしそれが分かれば運用業界は100戦100勝です。

結局、ごく一部の投信は連勝しますが、それは100人でじゃんけんして最後に残った1人にすぎません。

じゃんけんで始める前に全勝する人を予測できないように、連勝する投信は事前に予測できないのです。

そこで投信を購入する時点で何が行われているかと言えば、投資家のニーズを言わせておいて、それに合う手数料の高い投信が「おすすめ」されているのです。

というより「今はこのテーマの投信が売れていますよ。」と誘導しているのが実態でしょう。

株屋さんのひどい実態(顧客を食い物にしている実態)は21世紀になっても何も変わっていないのです。

そこで止むに止まれず金融庁が立ち上がり大なたを振るったのです。


最後に、日経と大手運用会社OBに私が言いたいことは1つです。

「黙れ!」



2017年9月11日月曜日

つみたてNISA・・・金融庁がお勧めする老後資金作りの決定版


いよいよ平成30年1月1日からつみたてNISAが始まります。
金融機関の受付は平成29年10月1日からです。

とりあえず多くの方の疑問は、iDecoなどの確定拠出年金、既存のNISAと何が違うの・・・とか、どれがお得なの・・・とか だと思います。

iDecoなどの確定拠出年金は、公的年金制度{国民年金(1階部分)、厚生年金保険(2階部分)}の上乗せ(3階部分)として、投資信託などを毎月積み立て方式で購入する制度で、60歳までは引き出すことが出来ませんが、積立金の全額が所得控除でき、また年金を受け取る時にも公的年金等控除が適用できる超お得な年金制度です。(投稿の最後に比較表を載せていますのでご覧ください。)

NISAは、銀行に眠っているまったく利子の付かない預貯金を投資に回して貰うため、120万円を上限に5年を期限として、投資で得られた利益を非課税とする制度で、老後資金のためと言うよりは、「貯蓄から投資へ」国民を誘導するための制度です。(投稿の最後に比較表を載せていますのでご覧ください。)

しかし、国は「貯蓄から投資へ」と誘導するためこれら制度を作っていますが、結局金融機関の手数料稼ぎに利用され、個人投資家は手数料の高い儲からない商品を買わされる結果となっており、当初のもくろみどおりには普及していません。

参考
NISA口座で実際に利用されている割合は現状45%程度しかありません。55%はブームに乗り口座を作ったものの利用していないのです。

これまで金融庁の軸足は金融機関側にありましたが、そうして作られたこれら制度がなかなか定着しない現状を反省し、つみたてNISAについて金融庁は軸足を思いっきり国民側に持って来たのです。

したがってつみたてNISAは金融機関側がまったく儲からない制度であり、国民側が絶対に儲かる制度になっています。

注意
「絶対儲かる」はチョット言い過ぎで「ほぼ絶対儲かる」ぐらいです。

それでは、NISAとつみたてNISAの比較から、

まとまった預貯金を持っている人はNISAが使えますが、預貯金の少ない若い人たちはNISAが使えません。

またNISAは5年間という中途半端な期間であるため、儲けられるのかどうかびみょ~であり、より確実に投資の利益が得られる(可能性の高い)長期間の投資が望ましいという分析もあります。(下図参照)

                         金融庁「つみたてNISAについて」より

金融庁はたぶんNISA発足当初より5年という投資期間が中途半端であることは分かっていたはずです。

今更保有期間が20年の方が儲かりますよとか言っちゃって・・・

でも投資期間が20年間の方が儲かるのは確かなのです。

ですから金融庁は、現行NISA制度の適用期限を延ばすよう改善すればよいのでしょうが、役人としては「無謬性(絶対に間違いはしない)」を破れないので、別の制度(つみたてNISA)でこれらの問題点を改善しようとしているのです。

別の制度にしたもう一つの理由として、NISAではさまざまな金融商品が選べますが、現状として屑商品が多く、金融機関がたくみにそれらを売りつけ高額な手数料を稼いでいる状況があります。

以上よりNISAはそこそこ儲かるかも知れない制度で有り、つみたてNISAはほぼ絶対に儲かる制度と言えます。

注意
NISAとつみたてNISAは併用できません。いずれかを選択します。1年ごとに切り替えは可能です。


ではつみたてNISAの制度とは

まとまったお金が無く、毎月積み立て方式で投資をしたい人のための口座で、1年間の積立額は40万円以下(月額約3.3万円)で投資信託を定期的に購入し、非課税保有期間が20年間に制限されています。(個別株式は対象外)

注意
確定拠出年金は60歳まで引き出せませんが、つみたてNISAはいつでも引き出せます。当然利益が出ても非課税です。所得控除はNISAと同様にありません。

この制度が使える期間は、平成30年~49年の20年間に限られます。
そうすると平成30年から毎年40万円を積み立てると、最大で800万円が上限となります。

つみたてNISAで金融庁が最も力を入れている点が、屑商品を徹底的に排除した優良商品だけにお墨付きを与えていることです。

参考
当初金融機関は、手数料稼ぎが出来ないつみたてNISAは「商売にならない」と消極的でしたが、若者に投資を広めない限り金融機関の未来はないとの危機意識からしぶしぶ金融庁の指導に従っているようです。

金融庁ご推薦の優良商品とは、次の基準に合格したものだけに限定されています。

1 信託契約期間が無期限または20年以上
2 毎月分配型は絶対だめ
3 デリバティブ商品(先物取引、オプション取引、スワップ取引)もいけません
4 指定されたインデックスに連動しているもの(訳の分からないインデックスはだめ)
5 指定されたインデックスに連動していないもの → とても厳しい基準あり(省略)
6 主たる投資対象資産に株式を含むもの
7 販売手数料は無料(ノーロード)のもの
8 信託報酬が0.5%以下(国内資産)、0.75%以下(海外資産)のもの
9 金融庁へ届出されたもの

ETFについて
1 指定されたインデックスに連動しているもの
2 主たる投資対象資産に株式を含むもの
3 最低取引単位が1,000円以下
4 販売手数料 1.25%以下
5 信託報酬は国内も海外も0.25%以下
 注:海外ETFについては資産残高1兆円以上(かなり厳しいね!何か裏がありそう。)
6 金融庁へ届出されたもの

指定されたインデックス(例)
国内:TOPIX、日経225、JPX日経400、MSCI Japan Index
全世界:MSCI ACWI Index、FTSE Global All Cap Index
先進国:FTSE Developed Index、FTSE Developed All Cap Index、S&P500、
       CRSP U.S. Total Market Index、MSCI World Index、MSCI World IMI Index

この厳しい基準をクリアした優良商品には金融庁のお墨付きが与えられるので、つみたてNISA対象商品はどれも安心して投資できます。

今のところ、この厳しい基準をクリアした商品は120本あります。(8月30日現在)
公募投信114本、ETF 6本

参考
はっきり言って、つみたてNISAだけでなく投資信託を購入するときには、この基準で選びなさいと金融庁は示しているのです。この基準に合わない投資信託は、どんな状況だろうと買ってはいけないのです。

ここまで金融庁が力こぶを入れて作った制度ですから、使わない手はありません。

介護保険や個人年金保険などは超低金利かつ長期固定商品ですから20年後は、実質的に元本割れとなる可能性が高いので、この際多少の損を覚悟ですっぱりと解約し、来年1月からつみたてNISAを始めることで明るい未来がやって来ると思います。

そうすれば、20年後の返戻率が160%を遙かに超えることはほぼ確実です。

参考
日経記事によると「MSCI WORLD指数(配当込み、円ベース)で1969年12月から20年、1970年1月から20年という具合に1カ月ずつずらしながら20年間投資した成績を調べると、16年末までの平均で4.7倍(戻し率470%)、成績が最悪だった金融危機後の2009年初めまでの20年でさえ、7割強(戻し率170%)増えていた。」


ただし一度商品を選んだ後は、20年間地道にこつこつと積立を続け、損が出ても解約したり別の商品に乗り換えたりしなければの条件が付きます。


つみたてNISAは老後資金準備のため、ぜひ活用すべき制度だと思います。

注意
投資は自己責任でお願いします。


参考
老後資金準備として利用可能な年金、非課税口座等を独自に比較してみました。
次の評価要素について各制度及び商品について比較し、優劣を記しています。
<所得控除>賭け金が所得から控除できる(全額◎、一部○、なし×)
<企業負担>賭け金を企業が負担するもの(全額◎、一部○、なし×)
<非課税>運用益について課税されない(全額◎、なし×)
<公的年金等控除>払戻について公的年金等控除が使える(使える◎、使えない×)
<長期投資>投資期間が長期(20年以上◎、5年以上△)
<取扱商品の品質>低品質の商品を含むかどうか(なし◎、一部○、かなり△、ひどい×、超優良◎◎)
<得点>◎3点、○2点、△1点、×0点で集計した値
<評価>合計得点による評価(優良10点以上、良5点以上、可5点未満)







2017年7月12日水曜日

ビットコインの何がすごいのか!(その1)


ビットコインの仕組みを知りたい方に・・・少しマニアックかも

イントロダクション

株式や投資信託の売買など多くの金融取引について、決済(実際にお金が動く日、受け渡し日)は約定日(契約日)から「4営業日後」となっています。

この処理はネット証券でもリアル店舗の証券会社でも一緒です。

なぜそうなっているのか?

例えばAさんがネット証券で株式を購入した場合、その株式はBさんが所有していたものとすると(現実的にはだれから買ったのかは分かりません。)、契約はAさんが「買う」をクリックした瞬間に成立(約定)します。

しかしBさんの銀行口座に売買代金が振り込まれるのは「4営業日後」です。

「4営業日後」となる仕組みは、Aさんの株式購入代金は、Aさんの銀行口座(第一銀行)から日本銀行を一旦経由してBさんの銀行口座(第二銀行)に送金されているのです。(実際は少し違います。)

ここで使用されているのが「日本銀行の決済システム」なのです。

「日本銀行の決済システム」では、10万円や100万円の少額?をいちいち決済処理してられないので、銀行間である程度まとまった金額としてドカンと一気に処理されています。

ドカンと一気に処理するためには、4日ぐらいを単位として第一銀行と第二銀行間の収支をまとめ、最終的に例えば第一銀行から第二銀行に1000億円を支払うことで精算されます。

この精算では、日銀にそれぞれの銀行が積んである当座預金間で行われます。

日本銀行の決済システムを使っている銀行は、日本銀行に当座預金としてあらかじめ10兆円ぐらい預けています(日銀当座預金)。(この積みと呼ばれる預金額は強制なので、一定の金額(日銀当座預金残高)以上を維持しないと日銀に怒られます。)

日銀内では、各銀行の当座預金間だけで決済処理されていますから、実際のBさんの口座への入金処理は、日銀内の決済処理後、第二銀行がBさんの口座残高を書き換える(振込入金する)ことにより処理されています。

一般に銀行の電算機システムは巨大かつ複雑です。
みずほ銀行では、電算機システムの更新で約2500億円を要しています。

銀行のシステムは、基本的に大型電算機を中心としたシステムなのですが、各銀行に導入されている大型電算機のメーカーが異なるため、各銀行システムをネットワーク化するのにも高度な技術とばく大な費用がかかります。(みずほ銀行の大規模なシステム障害はこれが原因)

なぜ複雑になってしまうのかと言うと、結局の所「信用」の裏付けをしっかりと確認しながら処理しなければならないので、「いつ」「だれ」が「だれに」「いくら」「出金」し「いつ」「入金」したのかを明確にしながら記録し、処理しているのです。

このシステムでは、毎日1兆円を超える金額を処理したとしても、1円の誤差もゆるされないのです。・・・当然でしょう。利子が5円しか付かない現状ですから、1円の誤差は何があっても許されません・・・と私は考えます。

同じ銀行システムの中だけの処理なら、少額でも素早く処理できますが、他の金融機関同士の決済では日銀経由となりますから、どうしても決済は「4営業日後」になってしまうのです。


本題

このような現状決済システムについて、有名な中本哲史(Satoshi Nakamoto)氏の論文「ビットコイン:P2P 電子マネーシステム」のイントロダクションでは、次のように記述されています。

「インターネットで商取引は、ほぼ例外なく、電子取引を処理する信用できる第三者機関として金融機関に頼っているのが現状である。大多数の取引において、このシステムで十分であるも、信頼に基づくモデルであるがゆえ弱点が残っている。金融機関争議仲裁を避けて通ることができないため、完全に非可逆的な取引を扱うことができない。仲裁コストが取引コストを引き上げることで、取引規模が限定され、小額取引の可能性が失われる。また、非可逆的サービスに対する非可逆的支払いを提供することができないことによる損失がより広範にわたる。可逆的取引を扱うために信用が問われる。商業主顧客に対し用心深くあらねばならず、顧客から多く情報を求める。一定割合の詐欺は避けられないものとして受け入れられている。対個人におけるこれら損失や支払い不確さは有形通貨を使うことで避けられるが、第三者機関を通さずに通信チャンネル経由で支払いを可能にするメカニズムは存在していない。」

結局インターネット環境における送金で問題となるのは、Aさんが入金していないのに送金したと言い、一方Bさんは入金があったとしても受け取ってないとウソを言った場合どうするのかという点です。

現金ならば受け渡しは確実に行われますが、サイバー空間内でデータだけのやりとりでは様々な不正が起こります。

現状として、銀行がAさんとBさんの間に立ってそれぞれの信用度をチェックしつつ、いつ、だれが、だれに、いくら送金したのかを保障することで問題が起きないようになっています。

これが「信頼に基づくモデル」なのですが、そのため銀行はシステムの構築・維持に膨大なコストを掛けています。

また個人としても根掘り葉掘り個人情報を聞かれ、送金は10万円まで、口座引き出しは50万円までとかいろいろ制約をかけられ、おまけに国外送金では2000円から3000円も手数料がぼったくられます。

しかも銀行も個人も膨大なコストと手間暇を掛けても、結局決済は「4営業日後」にしかならないのです。

そこで僅か1000円でも10分で地球の裏側に送金できるシステムを中本哲史氏が考えたのです。

中核技術は「ブロックチェーン」と呼ばれる分散型データベースです。

分散型データベースでは、巨大なコンピーターも膨大な維持管理費もなにもかもいりません。

利用者がただネットにパソコンをつなぎ、利用してくれるだけでよいのです。
そうあなたのパソコンがこのシステムを支えているのです。

参考
みずほ銀行では合併に伴うシステムの統合で大規模なシステム障害が発生しています。これにより銀行システムが停止してしまいました。しかしインターネットのような分散されたシステムでは故障が一部分に発生することがあっても全システムが停止することはありません。分散型データベースも大規模なシステム障害が起こりにくいシステムと言えます。


先の例で銀行にはAさんからBさんにいつ、いくらが支払われたかの記録が残されています。

この取引の記録を一定時間ごとにをまとめ、ブロックにしてどんどんつなげていったものがブロックチェーンです。

では誰がこのブロックを作るのか?

それは採掘者(マイナー)と呼ばれるコンピュータノードになります。

ノードとは、ネットワークに接続されているコンピュータで、データを転送する機能を持っています。(受け取ったデータに嘘がないか確認し、正しければ次のノードに受け渡します。)

したがってネットに接続されているどのコンピュータも採掘者(マイナー)になれる資格がありますが、超難解な数式を最短時間で解いた唯一のノードにその権利が与えられます。

超難解な数式を最短時間で解くためにはコンピュータの性能はかなりハイスペックであり、また電気代もかなりかかります。

めでたく採掘者(マイナー)になると自動的にチャリンとビットコインが貰え、また取引額の1%ぐらいの手数料も貰えます。

参考
マイニングは、専用のコンピュータを有するマイニング専門企業が多く存在しています。マイニング企業は日々コンピュータの性能向上を図らないと競争に打ち勝てない(収入が得られない)と言われています。(マイニング企業は中国とアイスランドに多く存在しています。)

なんとビットコインはこの瞬間に発行されているのです。(マイニング(採掘)とはこのことを言っています。)

立派で厳めしい中央銀行の奥の院で国民の目触れること無く密かに1万円札が刷られているのと正反対に、誰からの指示もなく、全世界監視の中、10分ごとにビットコインは自動的にチャリリ~ンと発行されているのです。

参考
ビットコインの流通量が上限に達する(採掘され尽くす)と、以後マイナーに支払われるのは取引手数料だけになります。

参考
ビットコインの発行上限額は、2100万ビットコインに設定されています。2017年4月現在の発行額は1320万ビットコインであり、4年ごとに発行額が半減して行きます。今のところ2040年頃に上限の2100万ビットコインに接近すると推計されています。(このときでも微妙に発行され続け、最終の発行期限は2140年に設定されています。しかし採掘するためのコストが飛躍的に増大するため、採算が合わなくなると言われています。)

この採掘者(マイナー)が新に作ったブロックが過去の取引を記録したブロックチェーンに追加され、すべてのノードに分散され共有されます。

したがってどのコンピュータノードにも全世界の取引の記録が残されています。

このためハッカーがすべてのコンピュータの記録を書き換えようとしても不可能です。

また、もしBさんが入金されていないと騒いだとしても、ネットに接続された1億台のコンピュータに残されているブロックチェーンには「Bは受け取った」「Bは受け取った」「Bは受け取った」・・・と記録されているのです。

このようにブロックチェーン技術により、だれが嘘つきかがすぐに分かります。

一方AさんやBさんがどこに住んでいて、何歳で、免許証番号や顔写真がどうのと言った個人情報はブロックチェーンには一切記録されていませんから、とやかくうるさい金融機関の煩わしさがまったくありません。(ということは、ヤバイ人も、銀行口座が作れない人も、北朝鮮の首領様も、ポチやミケでもOKです。)

どこのだれだろうとお金を持っていて、ちゃんと支払ってくれることさえ分かれば、名前が分からなくても取引する相手としては十分に信用できるのです。

次回は「暗号通貨の作り方」です。



ビットコインの何がすごいのか!(その1)

ビットコインの何がすごいのか!(その2)



ビットコインの何がすごいのか!(その2)


次の中核技術は「暗号通貨の作り方」です。

電子コインの実態は「連続するデジタル署名のチェーン」です。

例 電子コインのイメージ
$1ビットコイン-Aさんの署名-Bさんの署名- - -  -Xさんの署名-Yさんの署名-Zさんの署名(ビットコインが使用されるたびにタイムスタンプが記録され、以後同じ所有者がこのコインを二重に使用することができなくなります。)

この電子コインの所有者は最初Aさんであり、多くの所有者を経て、現在はZさんが所有していることが分かります。

デジタル署名などを電子コインのチェーンに追加する際にSHA-256のようなハッシュ関数が利用されています。

参考
SHA-256はNSA(米国家安全保障局)が考案し、2001年にNIST(米国標準技術局)によって連邦情報処理標準の一つとして標準化されています。機能としては、どんな長さの原文からでも256ビットのハッシュ値を算出することができます。

ハッシュ関数というのは、大量のデータを特殊な関数で変換し、一定長さのハッシュ値にしてしまう機能を提供します。

例えば携帯にアプリをダウンロードするときに、正しくダウンロードできたかどうか確認しながらこの処理を行う必要があり、その際にハッシュ関数が使われています。

100メガバイトのデータは1億文字(新書1000冊分)のデータになりますが、これを完全に間違いなくダウンロードするために1文字ずつチェックしていたら、ダウンロードに何日もかかります。

そこでこのデータをハッシュ化し、たった256ビットのデータ(ハッシュ値)にしてしまうことで、ハッシュ値が整合していることが確認できれば100メガバイトのデータが正しくダウンロードできたことが分かります。

注意
ハッシュ値は元のデータを圧縮したものではないので、ハッシュ値からもとのデータを復元することはできません。

参考
1億文字の中のたった1文字が違うだけで、256ビットのハッシュ値はまったく違うデータになってしまいます。つまりハッシュ値が整合すれば100%正しいことが証明されるのです。99%の確率で正しいというような曖昧さはありません。


では暗号通貨はどのように作られているのか?

AさんからBさんに1ビットコインを支払う場合を考えます。

Aさんが1ビットコインをもっていることは世界中のノードにブロックチェーンとして記録されています。

そこでAさんは自分が1ビットコインを手に入れた直前の取引のハッシュと、Bさんから送って貰ったパブリック・キー(公開鍵)をデジタル署名化して電子コイン(デジタル署名のチェーン)の最後にくっつけて、Bさんに転送します。

Bさんは世界中にころがっている取引記録(ブロックチェーン)と比較し、Aさんが送ってくれた電子コインが本物かどうか、二重に使い回されていないかなど過去の所有権を検証し、その電子コインの新たな所有者として秘密鍵で電子署名することになります。(これで1ビットコインがBさんの所有となります。)

参考
ブロックチェーンに記録されている内容はオープンにされていて、この中身を見るためのソフトがWebサイト上で無償公開されています。(http://chainflyer.bitflyer.jp/)

注意
もしBさんが秘密鍵を忘れてしまったら、クレジットカードやパスワードのように再発行してもらう訳にはゆきません。Bさんが秘密鍵を思い出さない限り、もらえるはずのコインは以後だれも保有し使用することができなくなります。

そしてこのAさんとBさんの取引を含め、10分ごとに全世界の取引記録がまとめられ、マイナーによりブロック化され、既存のブロックチェーンに追加されてゆきます。

参考
取引の記録とは、AさんやBさんの個人名ではなく、αのアドレスからβのアドレスにコインが送金された事実が分かるだけです。(ですから送金するときの名前がポチからミケに送金としても何の問題もありません。)

注意
ビットコインの取引所やウォレット(個人の財布)サービスを利用するときには、最小限の個人情報が要求されます。

ハッカー対ブロックチェーン

ブロックチェーン技術のすごさは魑魅魍魎(ちみもうりょう)のインターネットの世界に「信頼のプロトコル」を提供したことです。

いわゆる「嘘をつかないネットワーク」が実現したのです。

全世界のコンピュータノードに記録されたブロックチェーンは真実を提供します。

いかなるハッカーもこれを書き換えることはできません。

将来量子コンピューターの出現により公開鍵暗号も解けると言われていますから、そのときにはブロックチェーンもハッキングされるかも知れませんが・・・。

でも現状では無理です。ビットコインの仕組みそのものが「破られたことがない。」と言われています。

一時Mt.Gox(マウント・ゴックス:取引業者)がサイバー攻撃をうけて、保有するビットコインの大半を失ったと言われましたが、結論として運営会社の代表取締役マルク・カルプレス被告が顧客の預金を着服しただけだったのです。(公判中)

したがって世界的に、ビットコインに対する信頼は微塵もゆらいではいないのです。

また分散型データベースであるビットコインにはどこを探しても個人情報のデータベースはありません。(ポチやミケなどの仮名ばかりになっているかも知れません。)

世間を賑わしている「1000万件の個人情報流出」などという事件は、ブロックチェーンでは起こりえないのです。

これは個人情報を何億人分も抱えるクレジット会社にとってはかなり魅力的かも知れません。


このような優れた特質を有するため、世界中でブロックチェーン技術の応用が進められており、またビットコイン熱もますますヒートアップしています。

参考
なぜハッカーはブロックチェーンに勝てないのか?
ここに10台(A~J)のマイナーがいるとします。計算能力がほぼ同等なので、あるときはAがコインをゲットし、あるときはBがゲットします。そこでJがパワーアップしブロックの中身を書き換えようと(つまり自分がコインを使った記録を消してしまおうと)します。この不正なブロックについてプールーフ・オブ・ワーク(参加者の承認が得られるハッシュ値を探す計算)がうまく解け、めでたくハッシュ値を得ても、そのときにはすでに新たなブロック(Jがコインを使った記録を前提としたブロック)が作られているので、Jは急いでこのブロックも書き換えなければなりません。でもその間にもさらに新たなブロックが作られていますから、Jの計算能力はA~Iまでのマイナーの計算能力を圧倒するだけのパワーが必要です。これはマイナーが増えるほどより困難な仕事になり、現実的には不可能と言えます。したがってJはこつこつとマイニングに励み、小銭を稼ぐのが最も賢い方法なのです。


ビットコイン投資はおすすめか?

ビットコイン投資について、現状その8割は中国で行われています。

その理由は、キャピタルフライト、つまり人民元の暴落に備えて(あるいは腐敗摘発に備えて)、中国国内の資産を国外に移す手段として利用されています。

この状況に対して中国共産党は取り締まりを強化しており、今年に入りその成果が出てきたため、ビットコインは一時暴落しています。

一方中国バブルが崩壊するとビットコインは暴騰するとも言われており、いずれにしろ中国を初めとして世界中で金融不安がある度、またロシアや中国のように取り締まり強化がある度にビットコインは暴騰暴落を繰り返し、価格の変動幅が極めて大きい特質を持っています。

またビットコインの流通量は2100万ビットコインが上限とされているため、「世界はその2100万ビットコインを取り合うだろう」という予想も出ています。

しかしビットコイン開発の中心人物、マイク・ハーン氏も認めているように、ビットコインはあくまで実験であり、現実的に流通しはじめると、様々な問題点が発生し、失敗作だったと言っています。

参考
ビットコインは世界中の人々が使うにはあまりにも小規模なシステムです。1日に何十億件の取引が発生すると、これをマイニングすることは多分不可能でしょう。

マイク・ハーン氏は失敗作であるビットコインはすべて売却し、今は次なる「実験」に踏み出しているようです。

参考
2017年7月11日Bloomberg記事
ビットコインに分裂リスク、システム巡って内戦

参考
2017年9月17日 日本経済新聞記事
新仮想通貨「Jコイン」検討 国内の銀行連合で


一方、ビットコインによる実証実験の成果にもとづき、世界中でブロックチェーン技術をベースとした仮想通貨が新に開発され流通し始めています。

元ニューヨーク金融サービス局長でブロックチェーン技術アドバイザーのベンジャミン・ロースキー氏は「今後5年か10年で、金融システムは今とは似ても似つかないものになっているかも知れません。」と言っています。

そうすると10年後にビットコインがメジャーな流通通貨として現在の地位を維持出来ているのかどうかかなり疑問です。

したがって、ビットコインは逐年取り扱える店舗数が増加し、生活上の利便性が向上しているものの、その投機性は極めて大きく、私は個人投資家が投資するには危険すぎると考えます。

ではいつ仮想通貨を持ったら良いのか?

私は、仮想通貨について、投資対象というよりむしろその本質は生活上の利便性にあると考えますから、どこのお店でも使え、いつでも瞬時に決済でき、送金できるようになったときに持ったらよいと思います。

いずれにしろ仮想通貨は金と同様に持っていても利益を生まないので、投機性の強い商品で有り、個人投資家が資産を増やす目的で投資するには不適格と考えます。

仮想通貨はまだ実験段階であり、本格的な普及までには時間を要します。

たぶん今後5年以内に様々な仮想通貨が普及し、その中でメジャーとなりそうなものが出てくるのではないでしょうか。

それまではじっくり待つのがおすすめです。


最後に「信頼のプロトコル」ブロックチェーン技術を発明した中本哲史氏について、Mosaicを開発したマーク・アンドリーセンはこう言っています。
「こいつは天才だ、ノーベル賞に値するぞ」

でも中本哲史氏が存在しているのかどうかは不明です。



ビットコインの何がすごいのか!(その1)

ビットコインの何がすごいのか!(その2)