☆投資は資産全体を考えて配分を決定せよ
DC運用のポートフォリオにおいて最も重要なことは、DCが資産運用の一部分にすぎないということを理解しておくことです。
資産とは、個人のバランスシート(貸借対照表)をつくったときに書き出すべき預貯金、自宅不動産、住宅ローン、貯蓄性の保険、株式・債券など資産及び負債のすべてのことです。
したがってDCはその中のほんの一部分にすぎません。
前回の投稿で記したように当面の子供の教育資金や住宅資金などの資金需要をしっかり考えた上で、人生の総仕上げとなる老後資金のためのお金としてDCを考えなければなりません。
DCの商品として「バランスファンド」というものがありますが、DCの中だけでポートフォリオを考えているので的外れで有り、はっきり言って使い物になりませんから注意してください。
家計全体で考えると、まず流動性資産として給与振り込み口座などに生活費の6ヶ月分を確保しましょう。
子供の進学のための費用や自宅購入資金などは安全性を重視してネット定期や財形貯蓄などで計画的に増やしましょう。
そして最後に資産を増やす目的でDCを活用しましょう。
家計におけるDCの資産は、リスク性資産として位置づけして良いでしょう。
なぜなら、30代で健康に問題がなく、将来も一定の収入が見込めるのならば将来の稼得能力は高く、投資額も家計に影響が出ない程度にしているからです。
またDCでは運用益が非課税ですから資金効率が高められるのでハイリターンの投資商品に適しています。
とにかく安全性重視という方もおられるかと思いますが、以上の考え方がしっかりしていれば、DCの運用でリスクを取ることを怖がる必要はありません。
☆長期運用ではインフレに備えよ
リーマンショック以来、DCを運用されている方は投資信託などのリスク性商品から確定利回り商品に切り替えた方が多いようです。
リスクを避けたいとお考えのようですが、固定金利商品で僅かな金利を得ても管理手数料が上回ってしまうことと、より重大なことは、インフレに対するリスクが高くなるのであまりお勧めはできません。
DCは長期の運用となりますから、インフレ(金利高騰)は必ず来るものとして準備しておかなくてはなりません。
インフレにより車や土地などの物価が2倍となったときに、固定金利商品の利率が1%程度だと、預けているお金の価値が1/2に減ってしまいます。
一方インフレは本当に来るのかという疑問があるかと思いますが、国の財政において赤字国債が1000兆円を超えるようになると、もはや返済できる見通しは皆無です。
そのことを十分すぎるほど熟知している財務省職員などはインフレ対策として金を購入している情報もあります。(財務省としては国債消化が仕事のはずなのですが・・・)
アナリストや市場参加者は、貿易収支が恒常的に赤字となる時期に日本国債の暴落(金利の高騰)が起こると予測しています。
この異常な金利上昇(悪性インフレ)により預貯金の価値が失われ、そして国債に多額の投資をしている郵貯や銀行、保険会社などの金融機関の多くが破綻することでしょう。
DCにかかわらず、世の固定金利商品及び現金はインフレの進行とともにその資産価値を失って(暴落して)ゆきます。
さてインフレに備えるには投資先として3つあります。
・金などの商品
・不動産や株式
・外貨
この3つの投資先はそれぞれリスクとリターンなどの特質が異なり、その特質を理解した上でポートフォリオの「一部」として組み込む必要があります。
次回は商品選択について書くことにします。